HULFT 転送課題 解決ガイド

富士通ホスト (MSP) ⇔ RHEL サーバー間の双方向データ連携課題を解決する

はじめに

富士通メインフレーム(MSP)とLinuxサーバー(RHEL)間でHULFTを使用してファイル転送を行う際、データの表現形式の違いから課題が発生します。このガイドでは、代表的な課題について、双方向の転送パターンにおけるHULFTの最適な転送定義を解説します。 まず転送方向を選択し、次に解決したい課題のタブをクリックしてください。

1. 転送方向を選択

2. 課題を選択

課題: 符号付き数値 (ホスト → RHEL)

ホストのS9(5)(ゾーン10進数)は、最終バイトに符号と数値を持ちます。これをRHELへそのまま転送すると正しく解釈できません。

データ構造の差異 (例: +12345)

ホスト (送信)

F1
F2
F3
F4
C5

RHEL (受信)

+
1
2
3
4
5

解決策: フォーマット設定

詳細転送定義のフォーマット情報で、項目属性を ZD (ゾーン10進数) に設定します。

項目属性    =  ZD

HULFTが送信時にゾーン10進数を解釈し、RHEL側で扱える符号付きテキスト形式に変換します。

課題: 符号付き数値 (RHEL → ホスト)

RHEL上の符号付きテキスト(例: "+12345")をホストのS9(5)(ゾーン10進数)形式に変換する必要があります。

データ構造の差異 (例: +12345)

RHEL (送信)

+
1
2
3
4
5

ホスト (受信)

F1
F2
F3
F4
C5

解決策: フォーマット設定

受信側(ホスト)のフォーマット定義で項目属性を ZD (ゾーン10進数) に設定します。

項目属性    =  ZD

HULFTが転送中にテキストをゾーン10進数に変換し、ホスト側で正しく格納されます。

課題: パック10進数 (ホスト → RHEL)

ホストの9(5) COMP-3(パック10進数)は1バイトに2桁の数値を格納します。RHELでは直接解釈できません。

データ構造の差異 (例: 12345)

ホスト (送信)

12
34
5C

RHEL (受信)

1
2
3
4
5

解決策: フォーマット設定

詳細転送定義のフォーマット情報で、項目属性を PD (パック10進数) に設定します。

項目属性    =  PD

HULFTが送信時にパック形式をアンパックし、RHEL側で可読な数値文字列に変換します。

課題: パック10進数 (RHEL → ホスト)

RHEL上のテキスト形式の数値を、ホストの9(5) COMP-3(パック10進数)形式に圧縮して格納する必要があります。

データ構造の差異 (例: 12345)

RHEL (送信)

1
2
3
4
5

ホスト (受信)

12
34
5C

解決策: フォーマット設定

受信側(ホスト)のフォーマット定義で項目属性を PD (パック10進数) に設定します。

項目属性    =  PD

HULFTが転送中に数値をパック10進数形式に変換し、ホストのレコード長に合わせて格納します。

課題: 全角文字 (ホスト → RHEL)

ホストのJEF漢字コードをRHELのUTF-8などに変換する必要があります。特にJEFのシフトコード(SO/SI)の処理が重要です。

データ構造の差異 (例: "あいう")

ホスト (送信)

SO
4242
4244
4246
SI

RHEL (受信)

E38182
E38184
E38186

解決策: コード変換設定

集配信管理情報でコード変換を有効にし、送受信のコードセットを正しく指定します。

コード変換          =  実行する (1)
送信側EBCDICセット  =  JEF
受信側コードセット  =  UTF-8

HULFTが転送中にJEF(シフトコード含む)からUTF-8へ適切に変換し、文字化けを防ぎます。

課題: 全角文字 (RHEL → ホスト)

RHELのUTF-8などの文字コードを、ホストのJEF漢字コードに変換する必要があります。HULFTが自動でシフトコードを付加します。

データ構造の差異 (例: "あいう")

RHEL (送信)

E38182
E38184
E38186

ホスト (受信)

SO
4242
4244
4246
SI

解決策: コード変換設定

集配信管理情報でコード変換を有効にし、送受信のコードセットを逆方向に指定します。

コード変換          =  実行する (1)
送信側コードセット  =  UTF-8
受信側EBCDICセット  =  JEF

HULFTが転送中にUTF-8からJEFへ変換し、ホスト側で正しく扱えるようにシフトコードを付加します。